SEに資格は必要?AI時代に求められる能力

システムエンジニア(SE)を目指す人や、転職を考えている人にとって、資格を取るべきかどうかは気になるところだと思います。

基本情報技術者、応用情報技術者、データベーススペシャリスト、AWS認定資格など、IT関連の資格は数多くあります。

では、資格を持っている人ほど仕事ができるのでしょうか?

私は30年以上システム開発に携わり、会社員からフリーランスになって、さまざまな現場を経験してきました。

その経験からいうと、SEとして仕事をするうえで、資格は必須ではないと思っています。

もちろん、資格が役に立つ場面はあります。ただ、資格を持っていることと、実際に仕事ができることは別の話です。

さらに、生成AIが普及したことで、エンジニアに求められる能力そのものも変わり始めています。

今回は、SEの資格について、現場での経験を踏まえて考えてみたいと思います。

SEになるために資格は必要なのか?

結論からいうと、一般的なSEの仕事をするために、特定の資格を取得する必要はありません。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」でも、受託開発のシステムエンジニアについて、就業にあたって特別な学歴や資格は必要とされないと説明されています。

医師や弁護士のように、資格がなければ仕事ができない職業とは違います。

私自身、長くSEとして働いてきましたが、日々の設計や開発で資格が必要だと感じたことは、ほとんどありません。

現場で求められるのは、資格を持っていることよりも、担当する仕事をきちんと進められることです。

システムの仕組みを理解し、問題が起きれば原因を調べ、必要な対応を考える。

こうした能力は、資格の有無だけでは判断できません。

それでも資格が評価されるのはなぜ?

資格は必須ではありませんが、実際には資格を確認される場面があります。

例えば、転職活動や客先での案件選考です。

案件によっては、特定の資格を持っていることが応募条件になっていたり、技術者のスキルを確認する材料として資格が使われたりすることがあります。

なぜ資格が必要とされるのでしょうか。

一つには、SEの技術力を客観的に判断することが難しいという事情があると思います。

システム開発の経験がない人にとって、エンジニアの技術力を正確に評価するのは簡単ではありません。

そのため、資格が一つの目安になるのでしょう。

例えば、データベーススペシャリストの資格があれば、データベースに関する一定の知識を持っていることはわかります。

ただし、それだけで複雑なデータベースの設計や性能問題への対応ができるとは限りません。

資格は知識を確認するためのものであり、実務能力のすべてを保証するものではないからです。

資格よりも経歴や実績の方が参考になる

私がエンジニアの能力を判断するとしたら、資格の数よりも、これまでどんな仕事を経験してきたかを重視します。

例えば、同じJavaの経験者でも、単純なプログラム修正を担当してきた人と、大規模システムの設計から運用まで経験してきた人では、持っている経験が異なります。

また、同じプロジェクトに参加していても、どのような役割を担っていたかによって経験の中身は変わります。

重要なのは、単に何年働いてきたかではありません。

どのような仕事に携わり、どんな問題に直面し、それをどう解決してきたのか。

こうした経歴や実績の方が、その人の能力を理解するうえで参考になると思います。

ただし、経歴が立派だからといって、必ず仕事ができるとも限りません。

結局のところ、実際に一緒に働いてみなければわからない部分はあります。

技術力だけでなく、コミュニケーション能力や問題への取り組み方なども、現場では重要になるからです。

新人や未経験者にとって資格は意味がある

ここまで資格よりも実務経験が重要だと書いてきましたが、新人や未経験者の場合は少し事情が違います。

まだ実務経験がない人については、経歴や実績から能力を判断することができません。

そのような場合、資格は一定の知識を持っていることや、勉強に取り組んできたことを示す材料になります。

例えば、基本情報技術者試験の勉強をすれば、プログラミングだけでなく、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、ITの基礎を幅広く学べます。

実務に入る前に、こうした知識を身につけておくことには意味があります。

また、経験者であっても、新しい分野を学ぶために資格取得を目指すのは悪いことではありません。

私も、新しい技術を学ぶこと自体は大切だと思っています。

ただ、資格に合格することを最終目的にするのではなく、そこで学んだ知識を実際の仕事でどう使うかを意識した方がよいでしょう。

AI時代、知識を覚えていることの価値は変わる

ここからは、今後のSEにとって特に重要だと思っている話です。

生成AIが普及したことで、技術的な知識を調べる方法は大きく変わりました。

以前は、プログラミング言語の仕様やライブラリの使い方がわからなければ、マニュアルや技術書、インターネットを調べる必要がありました。

もちろん、今でも調べることは必要ですが、AIに質問すれば、コードの例や解説を短時間で得られるようになっています。

場合によっては、プログラムそのものをAIに作ってもらうこともできます。

こうなると、単に知識をたくさん暗記していることの価値は、以前より小さくなるのではないでしょうか。

ただし、基礎知識が不要になるという意味ではありません。

AIが出した答えが正しいかどうかを判断するためにも、基本的な知識や理解は必要です。

AIは間違った情報を出すこともありますし、動くプログラムを生成したとしても、それが安全で適切な設計になっているとは限りません。

AIが答えを出してくれる時代だからこそ、その答えを評価できる能力が重要になると思います。

これからのSEに必要なのは判断力ではないか

システム開発では、一つの問題に対して複数の解決方法があることも珍しくありません。

例えば、システムの処理速度が遅い場合、データベースのSQLを改善する方法もあれば、キャッシュを使う方法、システムの構成を変更する方法などもあります。

AIに質問すれば、さまざまな改善案を提示してくれるでしょう。

しかし、どの方法を採用するかは、システムの規模、費用、運用方法、セキュリティ、将来の拡張性などによって変わります。

AIが提示した方法を、そのまま採用すればよいわけではありません。

必要なのは、複数の情報を理解し、その場の状況に合わせて適切な方法を選択する能力です。

さらに、そもそも何が問題なのかを見極める力も重要です。

私は、こうした判断力や問題解決能力こそ、これからのSEに求められるものだと思っています。

知識を覚えていることよりも、その知識を使って何ができるのか。

AIを使えること自体よりも、AIをどう使いこなすのか。

エンジニアの評価基準も、少しずつ変わっていくのではないでしょうか。

資格の勉強は無駄なのか?

ここまで読むと、資格を取るための勉強は必要ないと思われるかもしれません。

しかし、私はそうは思いません。

資格試験の勉強には、普段の仕事では触れる機会が少ない技術や知識を体系的に学べるという利点があります。

実務だけで経験を積んでいると、どうしても担当している技術分野に知識が偏りがちです。

資格の勉強を通じて、知らなかった技術や考え方に触れることもできます。

ただし、資格を取得しただけで満足してしまうのは、少しもったいない気がします。

勉強して得た知識を実際に使ってみる。

新しい技術なら、小さなプログラムやシステムを作って試してみる。

そうした経験を重ねることで、知識が実際に使える技術になっていくのだと思います。

まとめ:SEに資格は必要なのか?

私の答えは、「資格は必須ではない。でも、持っていて損はない」です。

資格が役立つ場面はあります。

特に、新人や未経験者の就職、転職活動、客先での案件選考などでは、一定の評価材料になるでしょう。

一方で、実際の仕事では資格よりも、これまでの経歴や実績、問題解決能力が重要になると感じています。

そして、AIが普及したこれからの時代には、知識をどれだけ覚えているかよりも、必要な情報を集め、それをどう判断し、仕事に活かせるかが問われるようになると思います。

資格を取ること自体を否定するつもりはありません。

ただ、資格はあくまで一つの目安であって、目的ではないはずです。

大切なのは、学んだ知識を使って何ができるのか。

長くSEをやってきて、今はそんなふうに考えています。

これからSEを目指す人も、すでに現場で働いている人も、資格を取ることだけにこだわらず、実際に使える技術や判断力を磨いていくことが大切なのではないでしょうか。

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