「もう会社を辞めたい!」
仕事がつらい、人間関係がうまくいかない、給料が上がらない、もっと自分に合った仕事をしたい……。
会社を辞めようと思う理由は人それぞれです。
でも、勢いで退職してしまうと、あとから思わぬ出費や手続きに困ることがあります。
特に気をつけたいのが、お金の問題。
会社を辞めれば給料は止まりますが、税金や健康保険料などの支払いは止まりません。
今回は、会社を辞めようと思ったときに準備しておきたい5つのことを紹介します。
1. 退職後の生活費を確保する
まず最初に考えたいのが、退職後の生活費です。
次の仕事が決まっていない場合、退職した翌月から給与収入がなくなる可能性があります。
失業給付があるから大丈夫と思っている人もいるかもしれませんが、退職したらすぐに振り込まれるわけではありません。
生活費は最低でも数か月分を用意したい
例えば、毎月の生活費が25万円の場合。
| 収入がない期間 | 必要な生活費 |
|---|---|
| 3か月 | 75万円 |
| 6か月 | 150万円 |
| 9か月 | 225万円 |
| 12か月 | 300万円 |
転職活動がどれくらい続くかは分かりません。
そのため、生活費の6か月分程度を一つの目安に、貯金を確保しておくと安心です。
ただし、この金額に住民税や健康保険料などが含まれていない場合は、別途準備が必要です。
特に40〜50代の場合、住宅ローンや子どもの教育費など、毎月の固定費が大きい家庭もあります。
「いくら貯金があるか」よりも、「収入がなくても何か月生活できるか」を確認しておきたいですね。
2. できれば在職中に転職活動を始める
会社を辞めてから転職先を探す人もいますが、可能であれば在職中に転職活動を始めることをおすすめします。
理由は、収入がある状態で次の仕事を探せるからです。
退職してから転職活動をすると、仕事がなかなか決まらない場合に焦りが生まれます。
貯金が減っていくと、条件が合わない会社でも妥協して入社してしまうかもしれません。
在職中にできること
- 転職サイトで求人を調べる
- 自分の経験やスキルを整理する
- 履歴書・職務経歴書を作成する
- 転職エージェントに相談する
- 希望する職種の年収相場を確認する
特に40〜50代の転職では、これまでの経験をどう評価してもらえるかが重要になります。
今の年収を維持できるとは限りません。
実際に求人を見てみると、思っていたより選択肢が多いこともあれば、逆に厳しい現実が見えてくることもあります。
会社を辞めるかどうかは、それを確認してから判断しても遅くありません。
ただし、パワハラや過重労働などで心身が限界に近い場合は別です。
健康を犠牲にしてまで、次の仕事が決まるのを待つ必要はありません。
3. 失業給付の条件を確認する
会社を辞めたときに頼りになるのが、雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付です。
実は、この制度は2025年4月から変更されています。
自己都合退職の給付制限が短縮
以前は、自己都合退職の場合、7日間の待期期間に加えて原則2か月の給付制限がありました。
しかし、2025年4月1日以降の退職については、原則1か月に短縮されています。
| 項目 | 2025年3月まで | 2025年4月以降 |
|---|---|---|
| 待期期間 | 7日間 | 7日間 |
| 自己都合退職の給付制限 | 原則2か月 | 原則1か月 |
ただし、過去の離職回数や退職理由などによって例外があります。
また、一定の教育訓練を受講した場合には、給付制限が解除される制度も設けられています。
失業給付はいくらもらえる?
受給できる金額は、退職前の賃金や年齢などによって変わります。
受給できる日数も、雇用保険の加入期間や退職理由などによって異なります。
例えば、一般的な自己都合退職の場合、被保険者期間などに応じて90日、120日、150日などの所定給付日数が設定されています。
ただし、失業給付は誰でも自動的にもらえるわけではありません。
原則として、働く意思と能力があり、求職活動をしていることが必要です。
退職前にハローワークの制度を確認しておくと安心です。
参考:厚生労働省・ハローワーク
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/
4. 健康保険・年金・住民税の支払いを確認する
個人的に、退職前に特に確認しておきたいのがここです。
会社員の間は、健康保険料や厚生年金保険料などが給与から天引きされています。
そのため、実際にいくら負担しているのか、あまり意識していない人もいるかもしれません。
でも、退職すると自分で手続きや支払いをする必要が出てきます。
健康保険はどうする?
退職後の健康保険には、主に3つの選択肢があります。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 任意継続 | 退職前の健康保険に一定期間加入し続ける |
| 国民健康保険 | 住んでいる市区町村で加入する |
| 家族の扶養 | 条件を満たせば家族の健康保険に入る |
任意継続は、原則として退職日の翌日から20日以内に申請する必要があります。
また、在職中は会社が健康保険料の一部を負担していますが、任意継続では原則として本人が全額負担します。
そのため、保険料が高くなる場合があります。
一方、国民健康保険は前年の所得などをもとに計算されるため、退職直後でも高額になることがあります。
退職前に両方の保険料を比較しておくとよいでしょう。
年金の切り替えも必要
退職後すぐに再就職しない場合、20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金への切り替えが必要です。
配偶者の扶養に入る場合などは、手続きが異なります。
収入が減って国民年金保険料の支払いが難しい場合には、免除・納付猶予制度もあります。
住民税は退職しても請求される
そして、忘れがちなのが住民税です。
住民税は基本的に前年の所得をもとに計算されます。
例えば、2026年に退職して収入がなくなったとしても、2025年の所得に応じた住民税の支払いは続きます。
退職時期によっては、残りの住民税が最後の給与や退職金からまとめて差し引かれる場合もあります。
給料がなくなったのに、住民税の請求が来る。
退職後に慌てないためにも、この仕組みは知っておきたいですね。
5. 有給休暇・退職金・会社の制度を確認する
最後は、退職前に会社の制度を確認することです。
特に見落としたくないのが、有給休暇と退職金です。
有給休暇は何日残っている?
退職前に、未消化の有給休暇が何日あるか確認しましょう。
退職日までに有給休暇を取得できるよう、引き継ぎのスケジュールを調整することが大切です。
有給休暇は退職すると原則として使えなくなります。
また、会社が未消化の有給休暇を必ず買い取ってくれるわけではありません。
退職金の支給条件も確認
退職金制度がある会社では、勤続年数や退職理由によって支給額が変わることがあります。
例えば、あと数か月勤務すれば支給条件を満たすケースや、自己都合退職と会社都合退職で支給額が異なるケースも考えられます。
退職日を決める前に、就業規則や退職金規程を確認しておきましょう。
また、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している場合は、退職後の資産移換手続きも忘れないようにしたいところです。
退職時に受け取る書類も重要
退職後に必要になる主な書類には、次のようなものがあります。
- 離職票
- 源泉徴収票
- 雇用保険被保険者証
- 健康保険の資格喪失を確認できる書類
- 退職証明書(必要に応じて)
離職票は失業給付の手続きに、源泉徴収票は転職先での年末調整や確定申告などに必要になります。
会社によって書類の発行時期が異なるため、退職前に確認しておくと安心です。
退職前に確認したいチェックリスト
会社を辞めようと思ったら、最低限、次の5つを確認しておきたいところです。
- 退職後の生活費を数か月分確保している
- 転職先や求人の選択肢を調べている
- 失業給付の受給条件を確認している
- 健康保険・年金・住民税の負担を把握している
- 有給休暇・退職金・退職時の必要書類を確認している
すべて完璧に準備できるとは限りませんが、知っているだけでも退職後の不安は減らせます。
まとめ:会社を辞める前に、お金の準備だけはしておきたい
会社を辞めること自体は、決して悪いことではありません。
今の仕事が合わないなら、別の道を探すのも一つの選択です。
私自身も、会社員からフリーランスへと働き方を変えた経験があります。
会社を離れると自由になる部分もありますが、その一方で、収入や保険、税金などを自分で管理する必要が出てきます。
特に退職直後は、思っていた以上にお金が出ていくことがあります。
だからこそ、辞める前に少しでも準備しておくことが大切だと思います。
もちろん、心身が限界なら、お金の準備が整うまで無理をする必要はありません。
ただ、そうでなければ、退職後の生活を一度シミュレーションしてから決めたいところです。
会社を辞めるとき、あなたが一番心配なのは、次の仕事? それともお金でしょうか?
※2026年11月時点の制度を前提にしています。退職理由、加入している健康保険、勤務先の制度などによって条件が異なる場合があります。
